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JAいなばデイサービスセンター

―高齢者にやさしい施設づくりをめざして―

当敷地は小矢部市の中心部から南に6kmの田園地帯に位置し、静かで心地よい環境である。
本施設は、デイサービスセンター、在宅介護支援センターから成る社会福祉施設であり、高齢者の方が気楽に過ごせるやさしい施設づくりをめざした。また、施設整備によって周辺に威圧感を与えるのではなく、周囲の自然環境や家並みに融和した修景が大切と考え設計した。

■立面計画(周辺環境に配慮した点)
設計にあたっては自然の光、熱、風などの共生利用を積極的に図ると共に、利用者の方が四季の変化や一日の変化を感じられる施設計画を目指した。
外観については、地域の風習に溶け込むよう、雁行する各部屋と切妻の屋根で住まいらしい景観を創り出し、塗り壁調のサイディングと板張りとした。
屋根の形状や材質・色合い、軒先、窓などの表情が、この地域の風習や文化に育まれ長年住み慣れた高齢者の心にやさしく働きかけてくれるだろう。

■内部計画(わかりやすく、親しみやすい施設)
地域における施設として単に入居者を受け入れるということではなくて、高齢者が気楽に過ごせる施設作りを目指し、この建物が『住まい』と感じられるしつらえと雰囲気となるよう計画した。

・木質空間
デイルームの大黒柱から方杖が伸び梁を支える木構造の空間があり、高齢者を包み込むような温かな空間を創っている。

・木製デッキ
デイルームに連続し、木製のデッキテラスがある。外部空間を積極的に取り込むことにより、開放的な空間になるようにした。晴れた日には豊かな田園風景を望むことができ、外に出て散策することも出来る。

 

■維持・管理
・水廻り関連諸室を集約的に配置し、管理の効率化、イニシャルコストの低減を図る。
・施設の核となるデイルームを中心に所要室を廊下無しで連結させることにより、床面積を低減し、また、明確な動線計画とした。
・勾配屋根の特性である高低の天井を利用し、低→高の自然通気を助長し施設に特有の臭気の除去を図る。また、ハイサイドトップライトよりの採光(法的には排煙にも利用)を取入れ自然の恵みを十分に生かした断面計画とした。

■ライフサイクルCO 低減対策
リサイクル材の採用、耐久性のある素材の選択を行うことと共に、建物の長寿命化のため土間コンクリートの防湿対策を行い、また、浴室配管のメンテナンスを考えピットを設けた。
設備計画では、エネルギー効率の高い設備機器、照明器具の採用により運用エネルギーの低減を図りCO2の削減に努めた。

建築データ
発注:いなば農業協同組合
設計協力:永井 俊浩(構造)
建築環境設備(設備)
施工:くみあい建設
敷地面積:1,467.29㎡
建築面積:617.35㎡
延床面積:617.35㎡
階数:1階
構造:木造 二方向ラーメン構造

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